2008年3月5日水曜日

静岡県立美術館


先日の日曜日、静岡県立美術館で講師を務めていた絵の具の解放日というワークショップが終わり
四年間の美術館勤務が幕を閉じた。


大学を卒業する年は就活も教員採用試験もせず、作家活動をしていく事だけを決めていた。

卒業の直前に静岡県立美術館でワークショップの臨時講師をしてみないかと言われて、まぁなにかしらのアルバイトで食いつなぐ程度の予定しかなかったオイラは講師をするにも、学校外にある教育に興味を覚えた。

また自身の道を進めていく事をこの世界は享受してくれて、オイラを生かしてくれてると直感した。

粘土の体感遊びや鑑賞プログラムを学校や幼稚園、保育園から来る子供達とやっていき
いつしか「粘土のおにいさん」と呼ばれるようになった。
町の中でぶらりと買い物をしている時に「あ〜粘土のお兄さんだ〜」っと呼ばれる事も一度や二度ではなかった。
みんなオイラの髪型をしっかりと覚えていたようだった。


この四年間でオイラの担当していた美術の体感プログラムは大きく発展し広がっていった。
それは一重に担当の方々の熱意やオイラの助手を務めてくれた方々の知恵あってのことだった。

絵の具の体感プログラムが生まれ、副産物に様々なワークショップも生まれていった。
その一つ一つが吟味され、安全面や能率がよく効果的な形にみるみる進歩していった。
同時に他の講師の方が務めるワークショップも斬新な切り口で展開されていき
刺激を受けて、それはとても良い環境であった。


勤務も2年を過ぎて、オイラは絵の具の解放日と学校対応の教育普及事業のインストラクターとして
、また一人の美術作家としていろんな角度から「ワークショップ」を見る機会を得ていた。
展覧会を行う時に、鑑賞者を巻き込む取り組みが自身のスタンダードになっていたのは、紛れもなくこの経験があったからだろう。
美術館を内側で仕事をしてきた事も芸術家としての考察を広げてくれていただろう。

美術館では年間で約5000人くらいの子供達と遊んでいたらしい。
物覚えは悪い方なので、これまで見てきた子供達の顔がすべて浮かぶわけではないが、いろんな子供達がいた。
印象深い子、何度も来た子、困った子に可愛らしい子
すべての子供に接する事が出来たわけではないが、その一人一人が今本当に愛おしい。


今、ここにあったすべてに感謝したい。

語り尽くせない。

それは振り向いたこの瞬間に歩んできた道の出発点が遥か遠くで霞がかっているためだろうか。
今語る最初の気持ちも、印象でしかないのだろうか。

しかし今オイラにはそのすべてが詰まっている。
ここから始まるもののすべてに、それが詰められて発せられるのであるならば


これほど誇れる事はない。

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